SRPP OTL の製作

タイムドメインスピーカ「華」用真空管アンプの製作です

SRPP OTL AMP 二題の製作(10)

SRPP OTL AMP 二題の製作(10)

回路図と特性図

SRPPアンプは回路は簡単で性能が良く音も良いと思っています。欠点なのは、出力管のプレート電圧が高くなり、得られる出力は少ないことです。使うスピーカは高能率型が望ましいですが低能率の小型スピーカでも近い位置で聴く限りは音量不足は感じません。

回路図

 

回路図はSRPP回路としてはごく標準的な回路構成ですので変わったところはありません、前段もSRPP、出力段もSRPPとしており、いわば、SRPP2段構成です。

2台の大きな違いは出力管の動作で15KY8Aは三結で、7695は五結で使っているところです。

15KY8A SRPP

 

15KY8Aの場合は三極ー五極管なので三極管部分は前段SRPP、五極管部分を三結にしてSRPPに構成しています、つまり、球4本で

2CHのSRPPとなっています。

7695 SRPP

 

もう1台の出力管7695は、真空管時代の最後に登場したオーディオ用出力管といわれています。外観は15KY8と同じ大きさですがMT9ピンの9T9管です。五極管のみですから、前段に双三極管6BQ5Aを起用してSRPPを構成しました。6BQ5Aを起用したのは、この球は真空管TVのチューナに使用されていた球でカスコード接続で使用されますのでよく似た回路のSRPPには適した球で、μは39あり使いやす球です。しかもよく使われる12AX7などと比べて安価です。

回路は同じような構成ですが、最初は15KY8Aでしたが、思いがけず7695をいただいたので急遽採用することにしたものです。

7695のマニュアルにはSRPP回路例が掲載されています

https://tubedata.jp/sheets/106/7/7754.pdf

出力段SRPPはこの回路例そのまま採用しています。

 

特性図

2台ともほぼ同じような結果となりましたが、出力段が三結か五結かの違いがあるかもしれません

 

周波数特性

 

周波数特性はマッチングトランスの性能の良さがそのまま

反映されており高域500kHz付近まで変な凹凸なく下降していま

低域は5Hz付近に盛り上がりがありますが、回路構成にあるようで低域の発振も見られないのでこのままにしてあります。

10Hz~100kHzの範囲では問題ありません

 

歪率特性

 

こちらも2台とも同じような特性になりました、

各周波数別でも良くそろっています、通常シングルアンプでも、プッシュプルアンプでも、この三周波数の歪率特性がほとんど同じになるのは高級トランスでないとできません。これはSRPP回路の良さであり特長です。

マッチングトランスはオートトランス形式ですが、これは2台とも同じマッチングトランスを使っています。一次二次間絶縁型にしなかったのは、鉄心による損失を避けたかったからです。

最大出力は4W/8Ω/5%となりました。

 

さで、出てきた音は?

SRPP はA級動作で最大出力は大きくできませんが、シングルアンプより豊かな響きを聴かせてくれます。

ご興味あるかたは我が家へ聞きに来てください、歓迎します。

結果報告

①15KY8A SRPP

 

a.回路図

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b.特性図

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②7695 SRPP

 

a.回路図

f:id:arunas001:20200924072648j:plain

 

b.特性図

f:id:arunas001:20200924093527j:plain

 

 

以上で本稿を終わります。